入国管理物語
と、その前に。
今回は3年ぶりのアメリカ入国なのですがわたくしある事情がありまして入国審査に引っかかる可能性がありました。
最悪日本に強制送還なんていうシナリオも視野に入れながらの渡米です。
まあそうならないために事前に日本のアメリカ大使館で手続きをしてきたのですがその時にも担当の方に入国審査官にいろいろ尋ねられるからもしれないからと言われていました。
というわけでかなり緊張気味で入国審査の列に並びます。
列は長蛇というわけではありませんがまあまあ時間のかかりそうな具合で長くなってます。
としばらくすると中国人の集団が2か所ある列の間に勝手にポールを移動させて列を作ります。
おいおい…そりゃあだめだろ)
そして入国審査官の”NEXT”という言葉を聞いてそこから手続きに入ろうとします。
すると審査官も気づいたのか”お前らじゃない、あっちに行け”と手で追い払うジェスチャーをします。
しかしその中国人の集団はそこに固まったまま動こうとしません。
と、同じ審査官がもう一度、今度は審査官のBOXからわざわざ出てきてポールを元に戻しさっさと後ろに並びやがれ!と口では言わないものの鬼のような形相で手で払いのけるジェスチャーをします。
まあそりゃそうだよな…しかしひでえ連中だな。一体頭の中はどんな構造なのか…)
そして渋々並びなおすために後ろに向かってしばらくした時でした。
ガン!ガン!ガン!)
と何度もポールを蹴飛ばしてるんだか底を叩きつける音がしました。
みんなあきれた顔してその音の方向を見てました。
あ〜あ、あーいうのは入国させねえほうがいいんじゃないのか?…)
さてわたくしの番が来ました。
実は入国審査官も裁量が人それぞれでいい人に当たれば問題なく通過できますが厳しい人や経験の浅い若い審査官、意地悪な審査官はいろいろ疑われたりしてなかなか通してくれません。
私も並んでる間に審査官の様子を伺い自分なりに良さそうな人難しそうな人を見定めておりました。
そして…なんと私を呼んだ審査官は私が最も警戒していた審査官でした。
うわっちゃ〜こいつかよ…)
若くて南米系の血が混ざってる人かな?映画エイリアン2に出てくる海兵隊員のバスケスという女性隊員のように筋骨隆々…逆チョンマゲ風な髪形でちょっと細めな男性。
まあここでひるんだら余計怪しまれるな、堂々と行くか!)
開き直ってまずは挨拶からとハッキリと切り出します。
Good Morning Sir!)
反応はなし。
手を出してパスポートをよこせって感じでした。
なんだ…空振りか…)
そう思った時でした。
あなた今回の目的は?
ゲッ!
女性やんけええ!
しまった…Sirとか言っちまったぞ…ーー;)
もうこの地点でわたくしは窮地に追い込まれた心境です。
やべえな…展開によったら別室に連れていかれるぞ)
審査官は無言のまま私のパスポートとアメリカ大使館から渡された書類のコピーに目を通しています。
大丈夫かな…)
と、思いのほかこの審査官はまともな方。
この後やや面倒な質問があったもののパスポートを返却され無事通過。
最後に書類のコピーまで返してきたので、
えっ?これも僕に返すの?)
と聞いたら
ええ、あなたが持っておいて)
これであっけなく終了。
いや〜びっくりした。
もし彼女が意地悪な人間なら最初のSirで即刻別室でしょう。
周りの人間からすればおかしな光景かもしれませんが、入国審査には人それぞれの物語があるのです。