オークランドコロシアム史上最長時間の試合 その1〜本当は愛されるべき男、ジョシュ・ハミルトン〜

昨年奇跡の大逆転勝利でアメリカンリーグ西地区を制覇した我がA's。

実力はもちろんついていたのですがそれ以外に、特に相手チームのミスに助けられ勝利した場面がいくつもありました。
その代表的な例がシーズン最終戦のレンジャーズ戦でレンジャーズのセンターを守っていたジョシュ・ハミルトンの落球。
その前のA'sとのシリーズでも緩慢な守備で得点を許し負けてしまっていたので最終戦のエラーはレンジャーズファンから完全に見放されたと言ってもいいほどそして今までレンジャーズに貢献してきたことを全て吹き飛ばされてしまったかのような大エラーとなってしまいました。

ハミルトンのエラー無しでA'sの優勝は無かった…)

多くのA'sファンまたはレンジャーズを始めとするメジャーリーグファンはそう思っているし現に日本で私の知っているレンジャーズファンの男性はそれはそれは酷い内容の意見を自身のブログに書き込んでいました。

しかしそれはちょっと違うんじゃないと当時から私は思っていました。

大体前半戦のハミルトンの活躍は超人的で彼無しでレンジャーズの躍進は無かったはず。
それをあのエラー2つでいかにもハミルトンがレンジャーズの優勝をフイにしたというにはあまりにも乱暴な意見だ…ーー;)

薬物やアルコールで人生を狂わした過去があるハミルトンが再出発を果たしたレンジャーズで大ブレーク。
メジャーリーグを代表するほどのスラッガーになったにも関わらずマスコミは彼のスキャンダルを暴露しおもしろおかしく書きたて彼を精神的に追い込むようなことをしました。

しかし本当の彼はどうか?

少なくとも私がオークランドで見てきた彼の態度はファンにはフレンドリーでほぼ毎回、時間の許す限り少しでも多くのファンにサインを行っていました…まるで自らの過去の行為を償うかのように。

今年エンジェルスに移籍したのですが今回はそのエンジェルスのユニフォームを着て初登場となります。

その彼をライトブリーチャーではからかう意味を込めて
「Josh Hamilton Appreciation Day」と銘打って試合に臨みました。

やややり過ぎ感のあるタイトルですが内容はどうせいつも通り野次を飛ばしたり冷やかしたりするものだと思っていたので私も特に止めることもしませんでした。

さて試合が始まりいきなりプホールズのホームランで1点を先制した後1回裏の守備でハミルトンがライトの守備につきます。

キャッチボールを終えたハミルトンがライトブリーチャーに近づいてくるとA's応援団から大歓声で迎えられます。

「Thank You!Jo-sh!Thank You Jo-sh!」と大合唱です。

するとハミルトンは立ち止まって丁寧にお辞儀して我々の声援に応えます

それはまるでこうなることを覚悟していたかのように冷静な振る舞いでもありました。

試合中もあちこちから声(野次)が掛かっても逆上することなく振り向いたりして笑顔を振りまいていたのです。

おっ、余裕だね^^)

我々の大合唱は私の予想よりもかなり大きくコロシアムに響きまた野次も相当なものでした。
しかしハミルトンは何度か振り向いたり多少は言い返したりしてたのかもしれませんが悪態をついたり無視したりはしませんでした。

なかなかやるね、その態度^^;)

我々の野次にもう少し感情的に反応するのかと思っていたのでこちらがやや拍子抜けした感もありました。

しかし野次は続きます。

するとです、何回かは忘れたのですがハミルトンが守備につくときに我々の目の前まで来て女の子を指で差しながらボールを投げ入れたのです

そのボールには何かメッセージが書いてありました。

ボールを受け取った女の子が独特の髪型だったのでそれに対しての褒め言葉とあとはどうやら聖書の教えを説いたもののようです

そういえば以前私がボールにサインを貰った時も何かそんなことが書いてありました。

彼がドラッグやアルコールで溺れたことを反省し常に胸に心がけていることをサインの横に書いているようです。

このボールが投げ入れられて以降我々からハミルトンへの野次は止みました。

彼が怒ることなくフレンドリーにそして紳士に対応したので我々も同じような対応というかハミルトンをリスペクトする態度に変わったのです。

まあ何と心変わりの早いこと^^;)

しかしここはこの応援団のいいところです。

選手は野次られて頭にくるでしょうがそれにうまく対処できると敵地でも相手の応援団に気に入られることがあるのです。

オークランドの応援団も確かに野次は汚いしやり過ぎなところはありますが本音の部分では選手といろいろ楽しみながらやりたいんだと思います。

今回でハミルトンの株はかなり上がりました。

しかしそれはハミルトンが元々野球にまじめでファンを大切にする人間であるからだと思います。

いくら過去に過ちを犯したところで人を殺したわけでなくまた傷つけたわけでもありません…(DVはひょっとしてあったのかも^^;)

過去を戒め今を一生懸命プレーしてるハミルトンは本当はもっとファンに愛されるべき選手なのかもしれません。

ヤングといいハミルトンといいレンジャーズとレンジャーズファンはちと評価が酷くねえか?)

さてそんな出来事もありながら試合は進んでいったのですがこれが何とまさかまさか、本当にまさかの展開が待っており誰にも想像つかないエンディングとなりました。

1点を先制したエンジェルスはさらに2回表トランボーがA'sレフトのセスペデスが一歩も動けない豪快なホームランを放ち0−2とします。

凄えあたりだ…ーー;)

A'sは4回に1点を返しましたが5回表にエンジェルスは4安打に死球と犠牲フライを絡め一挙4点を追加し1−6と点差を広げます。

あ〜もう!昨日せっかくサヨナラ勝ちで連敗を止めたのに!もうこれかよ!!−〆−”)

A'sは6回裏にモスのソロホームランで1点を返したものの7回表、プホルズにこの日2本目のホームランを打たれて2−7とされます。

こりゃあアカンわ…)

まだ3回あるとはいえプホルズ、トランボーのホームランに圧倒されスタンドも静まり返り今晩は敗退濃厚な雰囲気もありました。

7回裏も得点ならずで後は8,9回のみ。

スコアは2−7…。

ところがこの後オークランドコロシアムの歴史上初めての前代未聞の試合へと突入していくことになります…続く。