良い友人悪い友人
帰国前A'sの応援団の一人と友人にあるものを頼まれます。
「Shin、日本の国旗がほしい、買ってきてくれないか?」
彼の名前はロス、「MATSUI LAND」をビドローさんから受け継いだデザイン関係の会社を経営しているA'sの熱狂的ファンです。
そしてリーさん。
こないだのTV出演でいろいろ協力してもらったいつもA's側のいい席を譲ってくれる奥様です。
日本人のハーフなので日本のお菓子が大好きでまんじゅうがほしいとのこと。
4月19日 ボストン戦 彼らへのお土産を持参して久しぶりにオークランド・アラメダカウンティー・コロシアムに来ます。
BLEACHER席の入り口に着くとそこにはすでに何人かファンが並んでます。
その中にロスの姿も。
「Hi!! How are you!?」
と握手を交わす。
お互い知り合って間もないのに昔から知り合ってるような感じです。
さっそく日の丸を郵送されてきたままの状態でロスへ渡します。
真新しい国旗、普通左側の上下2箇所にしか紐を通す穴はないのですが特注でもう片方、つまりフェンスに掲げるとき風で飛ばないよう四角を紐で留められるよう注文したものです。
縦90センチ横120センチ。
それを広げたロスは
「パーフェクト!!!すばらしいよこれ!!!俺のイメージ以上だ!!!」
と喜んでくれました。
さっそく写真撮影で盛り上がります。
そして列へ並びしばらくするとある顔見知りの人間が近づいてきます。
名前はジョン。
大柄190センチぐらいで体重も100キロを超えてると思います。
ちょっと身なりが汚らしく乱暴な性格。
顔は広いようでいろんな人から声を掛けられます。
人はいいんでしょうがとにかくすぐにカードファイルで人を叩いたり何かしらいたずらをしないと気がすまない人です。
それはやりすぎだろうと思われることもよくあるので嫌ってる人間もいます。
彼が私に近づいてきて
「日本はどうだったんだ?」
と話しかけてきます。
地震のこととか家族は大丈夫なのかとかちょっといつもと違います。
怪しいとまではいきませんが様子が変です。
たわいのない会話の後今日のレッドソックスはサインはあまりもらえないだろうなと私が言うと今日はお金が無くてチケットがないから帰るといいます。
ならなぜここに?
どうやらホテルでレッドソックスのサインを取りに行ってその帰りのようです。
そうか、それは残念だなというと「バーイ」と言って消えていきました。
ところが数分後戻ってきて
「なあ、$10貸してくれないか?」
と言ってきます。
「今度サンフランシスコで会った時にでも返すよ」と。
(ははん…だから今日は俺にはちょっかいを出さないんだ…)
「だめならいいよ…もし余裕があるならって意味だ」
しかしどうしても入りたいから貸してくれと言う感じです。
まあいいだろう、仮にこのお金が返って来なければこの後むしろ付き合いやすい、$10で済むのなら。
今まで通りおちょくりながら金を貸してくれならまだこちらもすんなり貸せる、といっても恐らく貸した金は返ってこないでしょう。
だけど震災の話をネタでふってきて後になってお金を貸してくれとはさすがにこちらも嫌な気分になりました。
$10札を渡すと万遍の笑みでチケットを買いに行きました。
その後ろ姿を見て私は
(あばよ)
と心でつぶやきます。
彼はまた次回あれやこれやで私にお金をせびるかもしれません。
けどこちらも馬鹿ではありません。
金の切れ目が縁の切れ目。
まあ彼に言ってもわからないでしょうが…