ビジターでの応援とは

松井選手のサヨナラホームランの余韻を残したまま次の対インディアンス戦を迎えます。

このチームは数年前までは現ヤンキースのC・Cサバシア、現フィリーズのC・リー、現タイガースのビクター・マルチネスなどを擁していいチームだったのですがローカル球団の宿命でFA間近でトレードもしくは再契約の金額が用意できず彼ら他何名かがチームを去っていってしまいました。

なので現在は新しいチーム作りの最中で若手中心の構成。
よってチームは低迷するはず…とシーズン前から誰もが思っていましたが現在快進撃を続けています。

中心選手の一人に韓国人選手のシン・スー・チューがいます。
走攻守揃った良い選手です。
まだ2、3年程度の活躍ですがパワーもありスピードもあるので全盛期の松井選手とイチロー選手を足して2で割った感じ(パワーもスピードもバランスが良い)の選手でしょうか。
スイングも力強くこないだのレッドソックス戦でも松坂選手からホームランを打っています。

この日チュー選手が守るライトスタンド、すなわち我々の周りにはたくさんの韓国人が詰め掛けます。
イチロー選手を日本人が観に来るようなものです。

その数はだんだん増えていき何か異様な雰囲気が…何か違和感を覚えます。

それは後ほど。

ただマツイランドのパネルを掲げるには私が一番端だとしてもなお2人ほど入るスペースがありません。
つまり私のすぐ横に思った以上に韓国人応援団が押し寄せてきて丸々10人分の席が確保できなかったのです。
いつもは横の人間に一緒にパネルを掲げてくれないか頼むのですがこの日ばかりはそうはいきません。
しかし横にいるのは同じアジア系の顔をした韓国人。
私はパネルの応援団のロスのところに行き
「ロス、俺のとなりは日本人ではなく韓国人だからパネルは持ってくれないから…」
と話を始めたところ彼もそれには気づいていたとのこと。
ただ今日は特別な日でマツイランドのパネルは我々がやらないと言ってます。

「ナゼ?」

なぜかと言うとアスレチックスが小学生を招きマツイランドのパネルを後ろの席で掲げるというのです。
これは宿題だとか課外授業だとかそんなたぐいのものらしいです。

ここでは球団が小学生や中学生を招待し外野席上にある部屋でゲートが開く5時半過ぎから勉強をさせ7時から試合を観るといったことも行われているようです。
これはさすがアメリカ!いいアイデアだと思いました。

さて試合が始まりインディアンスの攻撃が始まります。

3番チューがコールされると私の周りの応援は大声援となります。

はっきりいってA'sの応援よりも(苦笑)

チューが凡退しても大きな声援。

その裏チューがライトの守備に就きます。
ビジターの外野手は守る後ろにホームの応援団がいると必ず野次を浴びせられます。

なのでこの日も守備に就いたチューにA'sの応援団が野次を飛ばします。

ところがそれ以上に韓国人応援団がチューに声援を投げかけます。

まあそんなもんか、日本人も同じ時があるから…。

むしろ球場で自分の国の選手を応援するのは自然なことですしましてや目の前にいて相手チームの応援団に野次られているのを見ればこちらも応援の声を大きくしてあげる、普通のことです。

ところがちょっと彼らのいる場所が悪すぎる。

ここはいつもA'sの応援団がいる位置、極端な言い方をすれば‘聖地’なのです。

私でも過去にイチロー選手の応援等で最前列の席を取ったり日の丸を掲げたりしましたがそれでも彼らに配慮して一番端のセクションの一番前の席でやるとかなるべく彼らと衝突しないように暗黙のルールを悟りながらやりました。

それが‘ビジターでの応援の仕方’と言うものだと思います。

この韓国人達、特に女性達は打球が外野に上がる度に「キャー!!!」、誰が見てもファールとわかる度に「キャー!!!」とまるで花火を見に来ている人たちのようです。
普通に野球を見たり知ってる人間にしてみれば
「何でこんなことで騒ぐんだ…」
といったぐあいにあるのです。

正直耳障りなのです。

チューに対しての声援プラスそういったマナーのなさがだんだんエスカレートしてそのうちA'sの応援団から「ShoutUp!」と言う言葉まで出てきます。
韓国人に顔を向けて言いませんが明らかに韓国人に文句を言っています。
その反動でチューが野次られ韓国人がもっと声援を送りはたから冷静に見ていた自分はそれがおかしくてなりませんでした。

両者子供のようなやりとりでしかも真剣だからです。

しかしここは運動会ではありません。

やはり子供のようなやり取りでもA’sの応援団は毎日応援してます、何年もの間。
彼らは選手と話もでき球団もスタジアムで働くスタッフも認めてくれる存在なのです。

そこに母国の選手を応援しに来たから、お金を払ってるんだからといってたかが1日や2日かもしれませんが‘土足で居間に上がる’ような行為はしてはいけないと思います。

私がこうやって冷静に見れたのは両方の立場を経験してるからです。

私も日本人プレーヤーがオークランドに来るなら応援します。
イチロー選手が野次られればいい気はしません。
けどここはオークランドだしビジターチームで相手側の応援団の目の前でプレーすることとはそういうことなのです。
野次なんかまだいいのかもしれません。
イチロー選手はメジャーリーグのデビュー当時オークランドで飲み物の氷を投げつけられたのは有名な話です。
イチロー選手が来る前のマリナーズのスター選手、ケン・グリフィー・ジュニアは同じく外野を守っていたジェイ・ビューナーと投げつけられたコインを広い集めて今日はいくら集まったか競っていたという話もあります。

まあ口論や乱闘になったわけではないのでいいですがさすがに「テーハミング!!!」の合唱が起きたりしたのには失笑してしまいました。

日本人ファンもイチロー選手や松井選手アメリカに来た当初は熱狂していたものの最近は見慣れてしまったという部分もあり応援に冷めた部分があるのかもしれません。
そういった意味で韓国人のチューに対する盛大な応援はうらやましい部分もあります。

ただここは敵地だからね、相手をリスペクトしながら応援してもらいたい。

試合は1−1の9回にA'sリリーフのフェンテスが大乱調で3失点、4−1で負けました。

フェンテス…というよりゲイレン監督よ、彼を酷使してねえか?

ベイリー早く帰ってきて!