ウォーター・フロント・パーク
フィラデルフィア3日目。
この日はここからSEPTA REGIONAL という電車を使って約50分ぐらいの町、トレントンに向かいました。
ここにはヤンキース2Aのトレントン・サンダースというチームがあり元阪神の井川投手が所属しています。
2006年のオフにポスティングシステムでヤンキースに移籍したものの07,08年にわずかに登板しただけであとはマイナーリーグでくすぶっております。
当時は同じくポスティングシステムで日本からレッドソックスに移籍してきた松坂投手にかわる戦力と期待されヤンキースが松坂投手が取れなかった代わりに30億円で落札(それと同等の金額を阪神が受け取っているからヤンキースは合計で60億円払ったのかな?)
しかし思ったような活躍ができずヤンキースのブライアン・キャッシュマンに
「イガワは失敗だった。ポスティングなんてのは最悪の制度、金の無駄遣いだ」
と言われます。
アホか…ホンとアメリカ人はわがままだし自分達が失敗すると他人に責任転嫁する。
そんなのわかっていながらポスティングに参加したんだから後になってゴタゴタ言うな。
最初から参加するんじゃねえ!
そんな雑音にも耳を傾けず井川選手はいつメジャーから呼ばれてもいいように準備をしています。
やはりここは日本人選手を応援したいしせっかく東海岸を周って日程的にも行けそうな感じだったのでフィラデルフィアで1泊延泊し応援に駆けつけます。
朝10時過ぎにホテルを出発。
SEPTAの出発駅30thStreet 駅まで歩いていきます。
往復切符を購入しローカル電車で揺られ流れる景色の中、古き時代のアメリカの面影を感じながら11時半頃トレントンに到着。
試合は7時過ぎですが早めに来たのはトレントンを観光したかったから。
とりあえず町の中心部へ。
ところが…何もありません(^^;)
普通の町並み程度でどこにでもある風景。
まあフィラデルフィアとニューヨークそれぞれ電車で1時間程度で行ける町ですから何か用があればそこまで繰り出せばいいということでしょうか。
町に必要な行政機関や最低限買い物、食事の出来るものしかありません。
「いやー、まいったな…」
正直そう思いました。
まだ12時前、試合開始までどうしたもんだか。
昼食をとってもう少し町を歩いたところで時間はまだまだ余りそう。
こうなったら一度球場を見てくるか。
トレントンの駅からライトレールという電車に乗って約5分で球場近くの駅で降ります。
ここから徒歩10分、大きな通り(ハイウェイかな?)と川を目指してひたすら横断歩道を渡って行きます。
そして着いた場所がウォーター・フロント・パーク。
時間はまだ2時過ぎ、閑散としています(苦笑)
チケット窓口が開いていたのでチケットを購入。
開場時間を聞くと6時5分。
「えっ!1時間前じゃないと開かないの!?」
それじゃあサインをもらったり球場をゆっくり見れないじゃない…
少々気落ちしながら球場の周りを歩きます、何せ5時に入れると思ったのが1時間伸びてさらに暇な時間が増えましたから。
大きな川べりにあるので人々が散歩したり釣りをしています。
そこへ球団関係者用の出入り口を発見。
「そうだ!ひょっとしてこの時間選手が入っていくかもしれない」
そういえば選手らしき人が2人ほど歩いていたし。
しかしその入り口近くで待ってるもコーチらしき人が携帯電話を片手にでてくるだけであとは誰も来ません。
するとさっきチケットを買った窓口の近くを人が出入りしているのが見えます。
私はこの球団関係者入り口とチケット窓口の中間に座り人の出入りを観察します。
すると30分ほど待ったときでしょうか。
一人の日本人らしきというかあきらかにアメリカ人でない人間がチケット窓口の横から球場に入っていこうとします。
「ひょっとして!」
一か八かで走りながら近づいてみると井川選手です。
「井川さん!?サインもらえますか?」
すると井川選手は立ち止まってくれていいよと言ってくれます。
そして私が用意していた彼のベースボールカードにサインをしてくれます。
彼が茨城出身だと知っていたので私は千葉から来た(正確には今はベイエリアからだけど)
「へえ〜千葉からトレントンまで来たの(笑)」
なんてびっくりしてました。
私一人しかいなかったのでそんな会話もしながら今日は試合も観て行くから頑張ってくださいと声を掛けると「ありがとう」といって球場に入って行きました。
いや〜びっくり、やってみるもんです(笑)
とりあえず試合を見るプラスでサインをもらうことが目標だったのですがこれで心置きなく試合を見ることに専念できそうです。
ほっと胸を撫で下ろしながらさてどうしようかと思いふと見上げた電燈に吊るされたサンダースのフラッグを見たときです。
何と「HIDEKI MATSUI」の写真があるではありませんか!
何で?彼はここでプレーなんかしてないだろう?
いやいや実はプレーをしていたのです。
メジャーリーガーは怪我をした場合そのリハビリの一環としてメジャーに戻る際何試合かマイナーの試合で調整をするのです。
松井選手も手首を骨折した時ここでリハビリ後プレーをしたのです。
「へえ〜」
何ともうれしい発見でした。
さて結局このあとまた町に戻ります。
帰りの電車は果たして使わないとだめなのか、歩いて来れないのか道を探りながら。
しかしアメリカの田舎町ですから道がよくわからずこの近くは大きな廃墟になった建物とか並んでいます。
ちょっと」危ない感じで距離的には歩けそうですが道が複雑だし迷ったら大変んなことになりそうなのでライトレールを使うことに決めました。
さて6時に球場に来て開場と同時に入ります。
ギブウェイでチームのカードセットを貰います。
また井川選手のカードが手に入った、しかもサンダースのユニフォームで。
これにまたサインをしてもらおうか…
みんな選手からサインを貰いたいのはどこの球場も一緒。
私も待っていると選手が少しづつ出てきて彼は誰?なんて初めて会った隣のファンに聞きながら先ほど貰ったカードの袋を開封してサインを貰います。
するとその中に井川選手だけでなくNAOYA OKAMOTO という選手のカードも入っています。
「あれ?誰だこの人、知らないぞ…」
後ろの経歴を見ると07年に横浜でプレーしてその後はメキシコのウィンターリーグで投げてたそうです。
年齢も私より10歳若いし聞いたことがありません。
さらに残りのカードから真鍋KAZ さんというカードも出てきます。
この方はコンデショニング・トレーナーの方のようです。
へえ井川選手の他に2人も日本人スタッフがいたなんて驚きです。
するとそのうちの一人真鍋さんが出てきます。
さらにサインを求める声に応えてサインをし始めます。
トレーナーがサインをしている姿なんて初めてみました。
一人一人丁寧にサインをしていましたが選手がウォーミングアップを始めようとしていたのでまた後で来るからといって行ってしまいました。
一方岡本選手は子供達ががマウンドから投げるイベントのキャッチャーをやっていてサインをもらえることは出来ませんでした。
ちょっと話しかけてみたかったんだけどしょうがない。
井川選手は現れず。
ゲーム開始近くになると真鍋さんが戻ってきます。
みんながまたサインをお願いしますが私もほしいので大きな声で叫びます。
「真鍋さーん!サインくださーい!!」
すると真鍋さんどこから日本語が飛んできたんだといったびっくりした表情でこちらを見て私を指で差し行くから待ってくれといった合図をします。
真鍋さんが私のところに来ると日本人の方がいるとは知らなかったと話しかけると
「ハハは、そうですか」と苦笑い。
けど「忙しい中サインありがとうございました、頑張って下さい」と言葉を返すと
「いえいえ、こちらこそありがとうございました」
ととても丁寧に応えて下さいました。
いやーほんとに海外で働く日本人の方には頑張ってほしいです。
さて試合内容はいつも通りきにせず。
井川、岡本両投手が見たかったのですが…
やはりマイナーリーグはエラーやらで進行が遅く9時になっても5回ぐらいです。
電車の時間の関係もあるので最後まで見れません。
岡本選手はブルペンで試合を静観しており井川選手は姿すら見せません。
試合前にサインをもらっておいてよかった…(^^;)
さてそろそろ球場を後にしようとしたときでした。
私の座っている隣のセクションで起きたのですが飛んできたファールフライが寝ていた赤ちゃんを直撃したのです。
母親は話か何かに夢中になっていたのかボールが飛んできたことに気づかずその場は騒然となります。
母親は何てことだ!と慌てふためき近寄ってくる人を制止して誰も来ないで!と叫びながら赤ちゃんを抱えて医務室に向かいます。
そしてその家族か友人も慌てて荷物をまとめあとを追います。
アメリカの球場ではネットを設けず間近でプレーを楽しめますが逆にこういった危険もはらんでいます。
少しでも気を抜こうものならボールが人に当たり大惨事となります。
この時ファールボールはライナーではなくフライボールだったのですが当たったのが赤ちゃんですからあのあとどうなったのか帰りの帰路でずっと考えていました。
親の不注意とはいえ赤ちゃんには何とも可哀想な出来事でした。
さて井川選手、岡本選手。
1日も早くここから抜け出してメジャーリーグで投げる姿を我々に見せてください。
それから真鍋さんご活躍を期待しております。
追記:
現在アメリカ・パシフィックタイムの6月17日でこの記事を書きましたが私がトレントンを訪れた6月10日から2日後に井川選手は3Aに呼ばれたそうです。
間に合ってよかった!
そして昇格おめでとう!
頑張れ井川選手!