再びサン・ライフ・スタジアム その2 君の名は?

店を出てすぐ目の前にサン・ライフ・スタジアムがあります。

空は雲が多いものの晴れてる状態で問題なく試合は出来るはず。

例のごとく長い道のりを歩いて正面ゲートに到着、車も少しづつ入っていきます。

(良かった、今日は試合がありそうだ。そういえばこないだの兄ちゃんいるのかな?)

しかし彼はいませんでした。

チケットを購入しに行きますがとにかくスタジアムがデカイ!

移動だけでも大変です。

しかも当日売りのチケットはWILL CALLとは別の窓口でさらに奥まで行かなくてはいけずわかりづらいとこで売っていました。

(かあ…外野席がレフト$40にライトが$21だと?高けえなあ…チケット売り場の窓口は小さいし売り場はこんなとこだしひどい…ーー;)

5時半開場。

入場するには円柱の中身をくり貫いたような通路を上に歩いていきそこから席へ通じる通路を突き抜けると目の前にフィールドが見えました。

オレンジ色の席がズラーっとスタジアム全体を取り囲んでいます。

長方形の完全フットボール使用のスタジアムです。

上部の席はオークランド同様全て閉鎖され人が入れないようにしてあります。

スタンド自体は複雑な造りではないしお客さんの入りが少ないのを見越して人を入れないセクションを完全シャットアウトでやりますからお客さんのいないところははっきりしています。

さてこの日ビジターチームであるブレーブスの選手にサインをもらおうと試みますがダグアウトの屋根が思ったより高くてもらいづらい形状。

サインをする選手は誰もいなくてチッパー・ジョーンズやジェイソン・ヘイワードもとっととベンチ裏に引き上げていきます。

ところが私の目の前でメディアやチーム関係者としゃべっている黒人さん、ある方に似ています。

(あれ!?ひょっとしてクロマティーじゃね?)

ウォーレン・クロマティー、読売ジャイアンツで80年代活躍した選手です。

いろんな意味で物議を醸し出した男。

首位打者1回、シーズンMVP1回他…

しかしデッド・ボールを当てたピッチャーをマウンドで殴ったり敬遠のボールを打ち返してサヨナラ打にしたり日本シリーズでは外野からの返球を怠って1塁ランナーに一気にホームから還られたり…引退後はサムライ・ベアーズというチームの監督をやったり日本の野球を批判した本を書いたなんてのもありました。

まあ良くも悪くも日本球界には溶け込んで日本人には馴染みのある外国人選手だったのではないでしょうか。
今は何をしてるんだか…

(いや〜どう見てもクロマティーだな…どうするか?)

こうなれば一か八かです。

クロマティーはこちらを向いて話していますから私と目が合った瞬間を逃さず声を掛けます。

「クロー!」→彼の愛称ですよ

そしてペンとボールを彼に見せます。

するとクロマティー、近くにいたスタッフにあいつのボールとペンを取ってきてくれという仕草をします。

(やっぱりクロマティーか!)

そして私のボールへサインをしてくれます。

するとクロマティー、私に話しかけてきます。

ク「イツカエル?」

私「今晩、ゲームが終わったら!」

ク「WHAT?ナンジノヒコウキ?7ジハンデヒコウキナイデショ!」

私「明日朝早い便だから空港に泊まる!」

ク「オー!」

といった感じで。

さらにクロマティーは日本の野球を見ているのか

ク「ヤクルトトップネ!ツギドコ?」

私(かあ〜わからん!)

という事で適当に返事を

私「チューニチ!チューニチ!」

するとクロマティー何度もおーそうか…という感じで頷きます。

しっかしクロマティー、相変わらず陽気というかブレーブスのコーチ陣やメディアをつかまえてあちこち移動しながら話しかけています。

グランドからベンチ裏に下がる時も私のところへ来て

「キヲツケテネ!」

と言って笑いながら‘バンザイ!バンザイ!バンザイ!’と3回両手を振り上げて去っていきました。

(ハハハ、そういやそんなパフォーマンスがあったな^^;)

さてブレーブスの練習が終わった後球場散策へ行きますが正直何もありません。

上から隅々まで全部見て周りたかったのですがスタジアムのほとんどがCLOSEされており中へ入れてもらえずチケットチェックも厳しいので席の移動が困難でした。

ぐるっと1階のコンコースを歩きますがオークランド同様開いている店も少ないです。

外野のほうは人気すらない状態。

(こりゃオークランドよりひどいな…)

フットボールと兼用で席も多いのですがローカル球団ゆえ弱いと人も来ず3階など閉鎖してもまだまだ空席が目立ちます。

マーリンズはスタジアムがアメフトと兼用、ローカル球団、財政難…オークランドと似ていますが決定的に違うことが2つあります。

1つはオークランドはコロシアム=昔の「格闘技場」と言われるだけあって円形の形をしたスタジアムなのですがサン・ライフ・スタジアムは長方形でライト側が長い辺になっており一方レフト側は短い辺。

なのでホームランの出具合がなるべく均等になるためにしているのかスタンドまで距離の短いレフトはフェンスを高くしてあります。

席はフットボールの試合が観やすいようにつくられているため辺に沿って造られており四隅にあたる部分がグランドを正面に見えるように辺と関係ない方向で設置されています。
他の席は内野席の場合ホーム・プレートから両外野ポールに近づくにつれて、外野席は両ポールからセンター・バックスクリーンに行くにしたがって少しづつ体をよじらないとプレーをしている内野が見えずらい造りとなっています。

ということで明らかにベースボール向きのスタジアムではありません。

(よくこんなところで20年近くもやったもんだ…ブルペンも酷い造りだな)

そしてオークランドと決定的に違うことがもう一つ。

来年マイアミのダウンタウン近くに出来た新球場へ移転します。

開閉式で現在の6万8千人近い席を3万7千人まで縮小して。

名前も一新して「マイアミ・マーリンズ」となります。

(いや〜うらやましいですな^^;)

これだけ人が来ないとか財政難とか言われながらきちんとベースボールが快適にできる環境を整えました。

それにマーリンズは若手から中堅にかけていい選手がいっぱいいます。

この日3番を打っていたマイク・スタントンは2本のホームランを打ったのですがその1本目は打った瞬間私の目ん玉が飛び出しそうな(運転免許証の件に続いてこの日2度目^^;)当りでした。
高々とあがった打球は誰もいないレフト3階席まで飛んでゆき私の目ん玉もそれを追いかけて飛んで行きそうなぐらい凄まじいあたりでした。

私が球場で目撃したホームランでは間違いなく一番飛んでいったあたりです。

2本目も軽々と左中間スタンドへ運びます。

(凄えのが出てきたな…)

さらに4番のローガン・モリソンもホームランを打ちます。

これにこの日出ていなかったハンリー・ラミレスと打の主軸は揃っています。

そして投手陣もジョシュ・ジョンソンを始めリッキー・ノラスコ、アニバール・サンチェスと3本柱がいますからマーリンズは新球場の効果も重なり来年はかなりいいチームになっているのではないかと思われます。

(私は今年ブレークすると思ってシーズン前の順位予想はナ・リーグ東地区の1位としたのですが早すぎた^^;)

A'sが最後のワールド・チャンピオンに輝いたのは1989年。

マーリンズが誕生したのは1993年。

89年以降一度もワールドチャンピオンになっていないA's、片や93年のチーム発足以来2度1997,2003年とワールドチャンピオンに輝いたマーリンズ

マーリンズは大健闘と言えるでしょう。

かつて名門と言われたA'sは新興球団マーリンズに抜かれました。

しっかりマーリンズはチームを運営してきていますがA'sは出来ません。

生え抜きやトレードで今のマーリンズのような選手層をA'sはつくれませんし移転話も進みません。
その差をここフロリダに来て試合を見て、それから入場する時に頂いた新球場のパンフレットを見て痛感しました。

オークランドA'sが近い将来フロリダ・マーリンズのようになれるのか…難しそうです(><)