侍JAPANの敗戦 その1

2013WBC決勝ラウンド第1試合、日本対プエルトリコ戦。

3−1プエルトリコリードで迎えた9回裏、日本は1アウトながらランナー1塁でバッター中田翔選手の時に奇跡を信じました。

この日本の未来を背負って立つであろう若者がサンフランシスコの寒さを吹き飛ばす一撃を放つに違いない…)

昨年オークランドで幾度の奇跡を観てきた、そして先日の東京ラウンドで台湾戦に勝った試合、オランダにコールド勝ちした試合を目の前で観た私の中では人生で今までになく妙に前向きな気持ちが芽生え何か「奇跡」が起きるはずと信じて疑いませんでした。
それは中田翔選手が失意の三振に終わった後も松井稼頭夫選手が代打でバッターボックスに向かう姿を見て

「いける!いけるぞ!何かが起こるに違いない!頼んだぞ松井カズ!」。
そして松井選手が初球をセンターへ打ち上げた瞬間でもボールがグラブに入るまでわからない!と熱く期待していました。

しかし…残念ながら「奇跡」は起こらず。

侍JAPAN敗戦、3連覇ならず…

まあしゃあーねえーか)
これが私の正直な気持ちと共に

監督、コーチ、選手も含めチーム関係者の方お疲れ様でした!

と素直にそう思いました。

敗戦直後の今インターネットを見ると8回裏日本の攻撃について「采配が悪い」だの「元々首脳陣の選択が間違っていた」という大勢の意見から、「内川のミス」「誰のせいでもない」「日本はよくやった」「プエルトリコが強かった」などちらほらですが出てきています。

どれもそれぞれの意見として私は当然だと読んでいますがどうも気になるのが「監督がアホ、あんな采配ありえない!第一ダブルスチールしてもいいなんて曖昧な采配はありえない」という意見。

これは私言わせると「そう思ってるお前らがアホ」

まず野球において選手の判断に任せて何かを「してもいい」という指示は存在します。
アメリカでは「グリーンライト」という言葉がそれに当たります。
これは指揮官が「選手の感覚に任せて実際グランドでプレーしている君達にその場面でどのプレーが最善、実行するかは判断を任せるよ」ということです。
盗塁なのでよくあります。

織田裕二さんの主演していた「踊る大捜査線」でおわかりのようにカタブツでメンツにしかこだわらない「本社」と現場を把握している「所轄」の対立構造。
それに反するかのように「本社」の中にいる室井さんと青島刑事紛する織田裕二の「現場主義」が手を組んで「現場で起きている状況においてお前らの判断で結仕事をしろ!」まさにあんな感じですが野球はこともっと柔軟です。

この8回裏の場面、批判の主たるところは4番阿部で左打者でキャッチャーが強肩モリーナなのにダブルスチール、しかも「してもいいよ=グリーンライト」なんて曖昧な作戦過ぎてありえないというのです。

まずランナー1,2塁からダブルスチールに関してですがサインで「GO」ならば失敗もいたしかたないでしょう。
失敗とは3塁でもしくは1塁ランナーが2塁で刺される場合もあります。
しかしこれはベンチからの完全な「命令」ですから選手の責任ではありません。

では「いけるならいきなさい=グリーンライト」の場合、そのサインを出された選手はアウトになってはいけません

「赤信号ですがいけると思って渡って轢かれました」=「死にました」ではいけないのです。

この「2つの塁を盗む」という危険な行為に「失敗」は許されないのです。

あの場面二塁ランナーの井端選手は「グリーンライトは出たが行くのは難しい」か「行けそうだがこのタイミングではない」と機会をうかがっていただけの様子でした。
それに対して内川選手は迷いも無く顔を挙げることなく全速力で2塁に向かいました。

ランナー1,2塁における「行けるなら行ってもいいよ」というダブルスチールでまず2塁ランナーは確実に3塁をおとしいれる必要があります。
そして1塁ランナーは「自分も2塁でセーフになる」という前提と「ダメなら1塁に留まり1,3塁にする、自分はアウトになってはいけいけない」という冷静な判断を2塁ランナーの動きを見てすることが最もというか最低限必要な判断能力です。

内川選手はリプレーを見る限りその「判断」を怠りました。

井端選手が途中で止まったのを見て自分が一塁に返る距離をきちんと把握していなかったです。

これは采配のミスではなく選手の判断の問題です。

私の高校時代の時にもこの作戦は存在しましたし日本では一般的にこの作戦は広まっていると考えられます。

この采配にいちゃもんをつけてる人達が大勢いるようですがもっとよく考えてもらいたい。

この日本チームがそこまでアホなチームだと思ってるのか?
スコアラーを含めコーチ陣だって素晴らしい人材が揃っている。
我々素人の能力や経験をはるかに超える方々が。
その人達が度重なるミーティングを重ねて日本のWBC3連覇のためにあらゆる情報収集と作戦を練った結果がこうなったわけでただ見て批判するだけしかできないお前らに何がわかる???

彼らが日本を代表して頑張った成果を簡単に批判する輩が多いことに私はあの東京ラウンドで「キューバ対オランダ」で埋まらない球場に重ね合わさる思いでがっかりしました。