ミラー・パーク その1 〜夜明けに輝くボールパーク〜

ミネソタでの試合が終わった後深夜12時54分、ミルウォーキーに向かう長距離バスに乗り込みます。

所要時間5時間半、途中一度休憩を挟んでバスは走り続けます。

朝6時半過ぎミルウォーキーのバス・ターミナルまであと15分ぐらいの時です。

私が座っている右側の窓越しにブリュワーズの本拠地「ミラー・パーク」が見えました。

(お〜!!
これは凄い!!!)

ちょうど朝陽が昇り始めその陽に照らされたミラーパークは迫力と共に美しさも兼ね具えていました。

毎回初めて訪れる球場はその一部が見え初めた時から心がわくわくするのですがこの時は寝不足で意識がうつらうつらしていたこともありハッと目が覚めたときに突然目の前にミラーパーク全部が現れたと言う感じでした。

その光景は巨大な鳥が羽を広げようとしているというかバイソンの角のような形というか…とにかく今までいろんな球場を見てここまで「迫力」を感じた球場はなかった気がします。

(写真撮っておきたかったな…)

10分後ミルウォーキーのバスターミナルに着きました。

ここからホテルまでは近いのですがチェックインは15時と記されています。

当初はチェックインまでバスのターミナルで寝るかダウンタウンを散策でもして時間を潰そうか考えていました。

がさすがにバスの中で一夜を過ごした後は体がきついです。

もちろんほとんど寝ていませんから頭もボーっとしています。

(こりゃたまらん…何とかならんもんか)

ということでホテルに行ってこんな時間だけどチェックインさせてもらえないか交渉しに行きます。

ホテルのフロントで今晩予約してる者なんだけど深夜バスで今着いて体がきついからチェックインさせてくれないかと悲壮な表情でお願いします。

するとフロントのおやじさんパソコンの画面を眺めながらしばらくして「OK」と言ってチェックインの手続きを始めてくれました。

(いや〜助かった!!^^)

部屋に入りシャワーを浴びてベッドに寝転びます。

これで午前中は完全休養、ZZZ…

正午ぴったし起床、充電完了。

準備をして外に出ると湖からの風と日差しが物凄く気持ちいいです。

試合開始まで時間はまだあります。

ダウンタウンはすぐそこにありさらに20分歩けばミシガン湖のほとりに出ます。

シカゴでもクリーブランドでも湖を見れなかったのでミルウォーキーでは見ておきたかった。

なので街並みを見ながらちょっとした観光気分に浸ります。

途中小腹が空いたのでホットドッグを買ってほおばりながら。

ミルウォーキーの街並みきれいです。

建物もお洒落でしたしこの日は湖からの風が強かったのですがとても気持ちがよかった。

その後一度ホテルに戻ります。

2日間ビールを飲んでいなかったのでドラッグストアーでビールを購入。

(薬局屋でアルコールかい^^;)

ホテルで一人宴会した後3時半過ぎ近くのバス停からミラーパーク近くを通るバスに乗り込みます。

この時私は自分でプリントアウトしてきた地図とホテルから持ってきたマップと二つ所持していました。

アトランタでは○oggle mapで痛い目に遭ったので今回は地元の観光マップを頼りに行動します。

そのマップを見ると35stというところからある道路を下って行くとミラーパークにたどり着けるという感じで記されています。

(簡単だな…)

35stで下車、地図通りに歩きます。

するとほどなくミラー・パークが見えてきます。

しかし近いことは近いのですがどこか時間が掛かる気配、というか光景。

なぜかというと近づくにつれて出てきたのは何とハイウエイの入り組んだジャンクション。

球場まで通ずる道がよくわかりません。

(何じゃここは…道がねえじゃん)

しかしミラーパークはほとんど目の前なのです。

私はこの時酔っ払っていたというわけではないのですがほろ酔い気分でハイテンションでした。

(球場に行けるなら何だっていいや…)

半分やけくそになり交通量のある道路を逆行して道を歩いていきました。

すぐ横にフェンスがずらっと並んでいるのですが私の身長ほどでバリケードもなく乗り越えようと思えば難なく越えていけますからとにかくミラーパークの方向へ向かい行き詰ったらフェンスを乗り越えていこうと思いました。

ところが実はここはハイウェイの入り口。

私は側道だと思っていたので何の疑いもなくミラーパークの見える方向に進んでいったのです。

するとしばらく歩いていると後ろから誰かに声を掛けられます。

「おい、どこに行くんだ?」

何とおまわりさん。

いや、そんなヤワな感じの方ではありません。

Policemanがパトカーをバックさせて窓を開け私に声を掛けてきたのです。

(へっ?いつの間に)

Policemanが私を見て通り過ぎた後パトカーを止めてバックさせて私に近づいてきた…そんなことにも気が付かず私はひたすらミラーパークが見える方向に歩いていたのです。

P「ここはハイウィだから人が歩いてはいけないんだ、どうやって入ってきたんだ?」

私「あの通りから、ミラーパークに行きたいんだけど…」

するとPoliceman

「後ろに乗れ」

私(へっ?パトカーに乗るの???)

見ると運転席と後部座席は鉄格子で区切られていて異様な空間。

(いや〜まいったな…こんな展開になるなんて…)

もちろん「NO!」とは言えないし逃げ出せば即御用でしょうから仕方ありません。

自分で後部座席のドアを開けて乗り込みます。

後部座席は本革シート…でなはく硬いベンチといった感じでした。

写真付きのIDを見せろと言うので身分証明書証を渡しそれを受け取ったポリスマンは無線で誰かと交信を開始します。

(うわ!っ、これはまずいぞ ーー;、まさか一晩どこかで拘留されんじゃねえのか??)

多少アルコールも入っている(といっても日本の500m缶3本なので多少とは言えないのかも…)ので何とか悟られないよう冷静に対応します。

そしてまたいろいろ尋問されます。

イカン!このままでは本当にまずいぞ!これは!)

ポリスマンの英語はわかります。

ここは何としてでも切り抜けないととんでもないことになる。

私は

「ミラーパークに行きたい、野球が観たい、道に迷っただけだ、この地図の通り歩いたんだけど…、どうやったらミラーパークにたどり着ける??」

といった単語を連発し決して怪しい人間ではないことを強調します。

するとしばらくしてもう一人のポリスマンが到着します。

(おい!だから俺は道に迷っただけだ!お前まで来るな!これじゃあまるで犯罪者扱いじゃねえか!!)

いや、実際鉄格子のパトカーの後部座席にいるだけでどう見ても悪いことをして捕まった人間にしか見えないのです。